フリーランス市場に起こっている案件のダウントレンドの裏側
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フリーランス市場に起こっている案件のダウントレンドの裏側

おひさしぶりです。
ぶっちゃけエージェントの鈴木です。

ここ2年程実務にかまけて、なかなか記事をかけておりませんでしたが、ROSCAもメンバーが頑張ってくれるおかげで、時間がつくれるようになったので、改めて執筆活動を再開していこうと思います。

2年前よりも大きく事業が拡大した分、見えてくる景色も変わってきたので、ここ2,3年ROSCAが事業成長するために、重ねてきた考察を発信していきたいと思います!

まず、リスタート一発目は、「ここ数年で大きく変化したフリーランス案件のトレンドについて」です。

ROSCAの実績値や、リサーチした外部の情報も織り交ぜながら、話を進めていきます。

1. ぶっちゃけエージェントが感じてきた10年間

まずは、実際に現場でエージェント事業を行いながら、肌で感じてきたリアルなトレンドを、時系列で整理していきたいと思います。

1-1. ~2018年:「エンジニア圧勝・ブローカー大量発生」

私がこの業界(SES業界)に関わり始めたのが、2015年頃からとなるのですが、この時代は2つの特色がありました。

それは「多重下請け構造が当たり前だった」ことと、「エンジニアを大量に抱えている会社が優位だった」ことです。

商流とはいわゆる発注元(クライアント)と、受注元(エンジニア)の距離を指すのですが、実際に取り交わされるものは四次請け、五次請けというものも多く、具体的には下記のような契約が業界で大量発生していました。

いわゆる多重下請け構造の問題だらけの契約なのですが、こういった契約が状態化していたため、いわゆる「ブローカーエージェント」(間に挟まるだけのエージェント)が大量発生し、こぞってエンジニアを抱えている企業(上記図でいうところのエージェントE)のリソースを確保しにかかりました。

かくいう私も、営業特化のエージェント会社に当時在籍しており、上記図でいうところのエージェントDのポジショニングで活動をしておりました。

ただ、SNS等で情報の可視化がどんどんと進んでいき、このような多重下請け構造の問題が、エンジニアに露見し始めたタイミング(2018年頃だったかと思います)で、次の時代に移っていきます。

1-2. 2018年~2023年:「フリーランスエージェント台頭」

2018年以降、情報の可視化により、多重下請け構造を避けるエンジニアが増えてきました。そういったエンジニアはフリーランスエンジニアとして独立するという流れを取っていきました。

その流れを受けるように、SES業界ではフリーランスエージェントが乱立して、独立していくフリーランスエンジニアの獲得に動いていきました。

各社フリーランスエンジニアのために様々なコンセプトで、差別化を図っていったのもこの時代の大きな特色です。

例えば、マージン公開/高還元エージェント。一部の悪徳エージェントがマージン率40~50%取る等の事象が複数確認されていて、こういった現状に不満を持ったエンジニアにターゲットをあてた上記のようなエージェントが出てまいりました。

それ以外にも、業界/領域特化型のエージェントや、直接契約を促進するエージェント等そのバリエーションは多岐にわたります。

かくいう弊社も、ROSCA Freelanceという媒体を通じて、フリーランスエンジニアの方との接点を持っていて、事業は成長しており、業界の中でも「フリーランスエンジニアを抱えておけば勝てる」というのが定石でした。

1-3. 2023年~現在:「人材圧倒的優位の終わり」

この定石に陰りが見え始めてきたのが、2023年でした。

ご面談をするエンジニアの方、1名あたりの顧客面談設定件数が下がり始めたのです。実際のグラフがこちらです。

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弊社メンバーの営業力が低下してきたのか?と一時は考え、他エージェントの代表や事業責任者の方、複数人から情報収集を行ったのですが、同じような状態でした。

この内容を受け、弊社ではこのままではせっかく相談いただいたエンジニアの方に、十分なサービスを提供することができないと考え、一気に戦略転換を迫られることになりました。

そして、以降も現在に至るまでこの状況に変化はありません。

2. フリーランス市場の人材優位は終わったのか?

なぜこのような状態になったのか、要素分解して状況を分析してみましょう。

まず、3つの要素に分解していきます。

この3つのバランスが明確になれば、この状況の説明がつくはずです。

2-1. 減少傾向にある業務委託案件

業務委託案件数のトレンドについて、会話をするにあたって、2つの要素を考える必要があります。それは事業投資(採用投資)のトレンドと、正社員/業務委託比率のトレンドです。

まずは、そもそもエンジニア獲得への採用投資のトレンドは、どうなっているのでしょうか?ここを考えるにあたって参考になると個人的に考えているのが、スタートアップの調達トレンドです。


ここの調達トレンドが上向きのときは、スタートアップ界隈も勢いづいていきますし、そこと連動するように既存の企業も新規事業や、既存事業の拡大に力を入れていく傾向があります。要は各社の競争が活発化しているとも言えるわけです。

そこを踏まえて、2023年のスタートアップトレンドを見ると、詳細は割愛しますが、資金調達額は2022年のピーク(9664億円)を下回り、7536億円となっておりました。

資金調達額がピーク時期から約半減している欧米と比較すると、減少幅は小さいものの、少なくとも活発化している様子はありません。

実際に、私たちが関わっているクライアント様各社も、拡大のペースは若干緩やかになり、組織を整えるや基盤を作ることに力を入れる企業が増えてきた印象があり、「大量採用しています」といったようなお話を耳にすることは少なくなりました。

そんな中で、転職の求人倍率はどうなっているのかを除いてみると、ここについては増加傾向にありました。

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こちらのグラフは全体の求人倍率のグラフですが、エンジニア(IT・通信)の前年同月比求人倍率は、+1.94(12.27倍)となっており、各職種の中でも圧倒的な増加傾向にありました。

 

ここから言えることとしては、事業拡大・採用投資のトレンドは一時的に減少・横ばいのトレンドではあるものの、正社員の採用トレンドは上がり続けており、結果として、業務委託案件については減少・縮小トレンドにあるということが言えると思います。

これは私たちの体感とも一致するところがあり、内部体制を整える方向に動かれるクライアント様が多く、外注を極力抑え、正社員比率を高めていこうという企業様が増えている印象があります。

2-2. 増加傾向にあるフリーランスエンジニア数

記のように業務委託案件が、減少・縮小トレンドにある中で、フリーランスエンジニア市場はどのように推移しているのでしょうか?

まずは、少し古い資料ですが、2019年にランサーズが出している資料を見てみると、フリーランスはアメリカと比較すると労働人口に対する比率は少ないものの、その比率に追いつく勢いで増加の動きをたどっています。

 

とはいえ、2021年の情報で少し古くもあるので、最新のデータも見てみます。

まずは業界最大手のレバテック社。TVCM等も行いその拡大の勢いの影響もあるかと思いますが、登録者の拡大ペースはすさまじく、2021年のコロナ前から拡大を続け、前年同月比144%という勢いです

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上場を果たしている
ギークス社のIRも見てみましょう。
2023年は広告費を抑制しているにもかかわらず、前年を上回る登録を獲得できているようです。

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フリーランスエージェント業界のトップランナーと言えるこちらの2社のこの状況を見ても、フリーランスエンジニアは増加傾向にあると見てよいかと思います。

2-3. フリーランスエージェント事業者数の増加

最後にフリーランスエージェント事業者はどういった推移をたどっているのかを見ていきましょう。

そもそも、フリーランスエンジニアを紹介するのに、免許等は特に必要がないため、その実態を正確に把握することはそもそも困難です。
ただ、人材紹介のエージェントと一定の相関はあるので、職業紹介事業所数の推移を確認してみると、2018年頃(平成30年頃)から右肩上がりで増加しています。
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それ以外に、定量的な情報ではありませんが、体感としてプラットフォームを運営している企業や、それ以外のWebサービスを運営している企業も、ビジネスチャンスを求めて、どんどんフリーランスエージェント事業を立ち上げておりました。

また、2018年以前ブローカーエージェントとして、活動していた企業も、自社でフリーランス集客を行う等の動きも活発に行われていた印象があります。

「フリーランススタート」「エンジニアHub」といったエージェントの掲載している案件のキュレーションサイトが登場してきましたが、事業者数増加の事実を裏付けているように思います。

2-4. まとめ

まとめると、

・フリーランスは増加傾向
・案件は減少傾向
・事業者は増加傾向


といった状況があるため、1エージェントあたりが集客できるフリーランス数は、一定の人数を担保できるものの、案件の確保は「そもそもの案件減少傾向」と、「競合性の向上」という2つが原因で、難しくなり、エンジニア1名に対し、紹介できる案件数が低減してしまったようです。
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2-5. (おまけ)リモートトレンドの変化

上記傾向を助長したのが、2023年5月のコロナ5類となったことを起因として広まった、出社ニーズの揺り戻しです。

コロナが5類となったことを契機に、今までしかたなくフルリモートを選択していた企業が、どんどんと出社比率を増やしていったのです。

結果として、案件の条件は出社のものが増え、フリーランスはフルリモート希望の方が以前多くいらっしゃる状況なので、マッチングがされない。といった傾向が2023年から現在に至るまで見られます。

3. 今後の市場の流れとフリーランスが取るべき手段

こうした市況感の中で、フリーランスエンジニアはどういった選択をとるべきなのでしょうか?

3-1. 保守的に動き、自身の基礎能力向上に努める

まずは、今の状況が5年10年続くかというと、そういうわけではないと思います。なぜなら、今後もエンジニアニーズ自体は上がっていきますし、IT人材の不測は必至だからです。

そのため、1つの現場や企業にコミットして、専門知識であるハードスキルではなく、ソフトスキルを磨いていくことに専念することをおすすめします。

なぜなら、フリーランスエンジニアとしてキャリアを歩んでいくにせよ、正社員エンジニアとしてキャリアを歩んでいくにせよ、最終的に企業から重宝されるエンジニアは、自走力があり能動的に考えながら動いてくれる方なのです。

こうした能力というのは短期間現場に就業してなかなか身につくものではなく、長く1つの企業や現場にコミットしていく中で、全体像を理解し、能動的な動きの取り方を学んでいくものです。

身動きが取りにくいこのタイミングだからこそ、そういった「地力」の向上に努めるのが、賢明ではないかと私は思います。

3-2. 十分に案件を保有している/開拓投資をしているエージェントを選ぶ

とはいえ、プロジェクト終了等で案件探しを行う機会は出てきます。そんなとき多数あるエージェントの中からどういった基準で、エージェントを選んでいけばいいのか?

まず、重要なのは「案件のポテンシャル」です。
ここまで話した通り、現在フリーランスエージェント界隈の案件事情は厳しいものがあります。そんな状況の中でも質のいいサービスを提供するためには、案件を保有ないしは開拓するポテンシャルを保有していることがマスト条件となります。

仮にこの能力がない場合は、商流の深いブローカー案件の紹介や、悪いとほぼ案件を紹介してもらえないといった自体になってしまうわけです。

そのため、エージェントを利用する最低条件は、「十分に案件を保有している/開拓投資をしている」こととなるわけです。

3-3. あなたの「人生プラン」と「市場の流れ」をうまくマージできるエージェント

そんな中で更にこだわるとしたら、「人生プラン」をしっかり見つけてくれる担当さんを見つけることです。

このVUCA時代と呼ばれる中で生き残っていくためには、ただ目先の案件を受注するだけでなく、将来安定的に案件を受注していくプランニングも並行して行っていく必要があります。

そのためには、経験豊富で信頼のできる担当者を捕まえる必要があるわけです。

ただ、こうした担当者と巡り会えるかはガチャのようなもので、案件を多数保有している有名エージェントの中でも、ベテラン層は実は一部しかおらず、多数は新人か御用聞きのようなエージェントであることが多いです。

理由は以前私が記載した業界の特色に関係するのですが、

 

基本的に大手・中堅エージェントは人ではなく仕組みに投資するので、なかなか優秀な人が育ちにくいのです。

こうした現状を打破するために、全員が「スーパーレア」なエージェント組織を作るために、立ち上げたのがROSCAなのですが、現在エージェント力では定評がある弊社は、十二分なキャリア・サービスを提供できるよう案件開拓に勤しむ毎日です。

是非、自分のキャリアを任せるに足るエージェントと出会いたいという方は下記サイトよりお申し込みください!

 

記事を書いた人

鈴木昂志

ぶっちゃけ系エージェント

鈴木昂志

ROSCA株式会社。取締役。 エンジニア専門でキャリアアドバイザーやってます。 エンジニアキャリア/組織論/その他自己啓発系の発信をしていきたいと思います。 Twitterもやってるので、よろしければフォローお願いします! https://twitter.com/ca_tkc